私が思っているよりも、大衆ってヤツはバカなのかもしれん。

　なんでこげなものが280万部も売れるとですか。ワンピースを同じくらいじゃないですか。おかしいよおかしいよ。
　買ったあとでアマゾンのレビュー見たら、すげえ低評価だったよ。まあ、アマゾン利用者受けはしねえわな。きっとこれで泣いたって人は、キャシャーンでも泣けるタイプ。うん、間違いない。別にキャシャーンで泣くのもこれで泣くのも否定はしないけど。
　まあ、シンミヤでしたよ(笑)。見事に彼女の真摯な思いが、無自覚へタレでいきがった、脳みそが下半身にある男に踏みにじられていました(笑)。『なんでちゅか？僕ちゃん口説ける女は全部口説きまちゅよ？悪いでちゅか？あと俺に抱かれる女は全部処女。処女以外認めない。でも俺にはすぐ足開け。開かなくても濡れてろ』って思想がすごくムカツキますな。
　なんだかなー。キングオブヘタレ主人公は、『イリヤの空、UFOの夏』の浅羽だと思うんですが、ヤツは下半身の衝動と理屈と理想と現実をわきまえていた分、この主人公よりはるかにいい男だなー、と。
　同じように、死が間近に差し迫った恋人を、ここではないどこかに連れ出したいと思って行動に移したにしても、浅羽の方が一生懸命だったし切羽詰ってたし、己の無力感と戦ってたし、それに打ちのめされてたと思うんだがなあ。
　まあ、現実の男子高校生だったら、そんなもの気付きもしないのが大半だろうから、この主人公も間違っていないんだけど。
　そんなヤツに純愛とか言われて、ハイソーデスカってホロホロ泣けるかぁ!!
　『下半身で同情されたらアキちゃんがかわいそうよ！』(注:『イリヤ』屈指の名言)なセリフの一つもあったら評価変わったと思うんですがね。そうすれば、何もできない青春の無力の中でもがく主人公の姿に、思い入れが出来たかもしれないのに。
　こう比較すると、秋山はすげえなあ(何の話だよ)。
　しかし、ほぼ同じ筋書きであるのに、『イリヤ』と本作を比較して書いてある文章は、ネット上では一つくらいしか見かけませんでした。まあ、『イリヤ』読むようなヤツは、これは読まないよな。

　ああ、シンミヤだって話でしたよ。ええ、シンミヤでしたよ。感情移入するごとに、『ああ、だからこんな男やめとけよ、騙されてるよアンタ、おかしいよおかしいよ、でもこんな男でもいないよりいる方がいいんだろうなあ』と、ほとほと泣けてくるところは、実にシンミヤでしたよ。
　あ、みんなここで泣いてるのか(違うよ。