一番長い日
エピローグ シンタローと一緒

 胸の携帯電話が振動する。走りつつ、耳に当てた。
『おったぞ。駅前の広場ンとこじゃ』
「分がった!」
 方向転換してまた走る。ずば抜けて体の大きなコージはすぐ見つかった。
「ほれ、あっちじゃ」
 指差す方向には、シンタローがつまらなそうにタバコを吸いながら、人ごみを眺めていた。足元には、大量の吸殻が落ちている。
「あんがとな、コージ」
「おう、焼肉はまた今度な」
 走り出すミヤギの肩を押す。元気になってよかった。

「シンタロー…!」
「あ…?」
 ひょっこり現れたミヤギを見上げ、シンタローは眉をなんともいえない形に曲げる。
「シンタロー、すまね、遅れて……」
「遅れて、じゃねえよ、バーッカ!」
 すぱこーん。気持ちいい音を立てて、ミヤギの頭を叩く。
「……いったあーーー!」
「せっかく予約とっといたのに無駄になったじゃねえか、バカ!二人席とっといて一人でレストラン入れるか、バカ!振られた男みてえじゃねえか!代わりに女でもひっかけようとしても、今日に限ってどれもひっかからねえしよ!」
「あうー……すまね……」
 頭を抱えて小さくなる。実際、遅刻したのは自分なのだし、言い訳しようがない。
「? そういや、お前、何でここにいんの?」
「あ……偶々だべ!」
「偶々かよ……あーあ……」
 広場の中央にある時計塔を見上げる。
「日付変わっちまったじゃねえか。誕生日祝ってやろうと思ったのによ」
「……覚えてたんけ!?」
「じゃなけりゃ、誰がわざわざ食事奢るんだよ。もう奢らねえぞ、日付変わったしな」
「う、うん……」
「もう開いてる店なんか、飲み屋かファミレスくらいしかねえしなあ……飲み屋にケーキはないか……」
「あ、オラ、ファミレスでええべ」
「いいのかよ?もうちょっと探せば、どっかあるかも心ねえぜ?」
「どこでもええべ。マックでもええ」

「シンタローと一緒なら、どこでもええ」

「……あっ、そう……」
「ンだ」
 すっかり上機嫌である。余りにも上機嫌な顔なので、まっすぐ見れなくなった。
「……久しぶりに、ファミレスのから揚げでも食うかぁ」
「ファミレスのステーキでも食うべ」
「奢らねえぞ、てめえの分はてめえで払えよ」
「分かってンべさー」
「まあ……ちょっと遅れたけどな」
「?」

「誕生日、おめでとう」
「……あんがと」

そして、長い一日の終わり。

End.

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