くるぐる使い・序
| そんな商売があることなんか、イヤってほど知ってる。そんな商売に手を染めてたことだって、気付いていた。そうでなければ、わざわざ顔のいい子供ばかり選んで殺しを仕込む理由が無い。だから、きっと『そのため』に連れてこられた奴だっているのだろう、と思っていた。分かっていたつもりだ。哀れなことだ、と思っていた。十分分かっていたつもりだったんだ。 実際見た映像は、想像の何倍も『アレ』だった。気持ち悪かったとか、ショッキングだったとか、そんな言葉で片付けられない。どうすればいいのか分からなかった。人間の死体なんて、内臓なんて、手足がもがれるところなんて、イヤって程見てきたじゃないか。イヤって言う程やっていたことじゃないか。仕方の無いことだと、そうしなければいけないことだったと、そう思ってやっていたんじゃないか。 ビデオテープから再生される映像の中で、嗚咽と嘔吐を繰り返し、堪え、それでも繰り返しながら生きたままの人間を解体している子供の姿をなんと言えばいいのか分からない。可哀想だと思ってはいけない。恐ろしいと思ってもいけない。自分だけはそう思ってはいけない。アレをさせたのは『俺』だ。そのことも分かって、俺は『俺』になったのだから。 それでも、ああ、それでも。自分の友が、部下が出ているスナッフ・ビデオを直視するには まだ、俺の覚悟は足りなさ過ぎた。 ああ、アレな。やンだなぁ、こっぱずかしぃ。 あんな、オラ、こっちさ来るまで修行ねがったかンな。すっげぇ遅れてたべ?体力もねがったし、戦闘術も素人だったしな。こげなことじゃいけねえなと思って、総帥……あっと…マジック様に頼んだンだべ。どっかで修行ささせてけろって。 そしたらな、強ぐなりてえんなら、人を殺す最適な方法を覚えるべきだって、そんためには人の体のどこをどうすりゃ、どうなるかって知ってねえといけねって。だかンな、わざわざオラのためにな、ああいう機会作ってくれてな。 何本かあったべ?一番最初の奴、見たか?オラ、びーびー泣いてたべ?すんげえ気持ち悪かったんだわ。生き字引の筆で動かねえようにしてあるし、痛ぐもねえようにしてあるって分かっててもな、やっぱ手が震えてな。こう、な、人の腹さ刺す時ってグサーッて感じだと思ってたんだわ。だども、本当はこう、ぐにょって感じだべ?それが気持ち悪ぐて吐いちまったんだども、情けねってマジック様に殴られてな。ちゃんとやらねえといけねえって、そうでねえと……シンタローやトットリたちと一緒にいれねって、そンためにわざわざオラのワガママ聞いてくれたんだがら、最後までやらねといげねって。気ぃしっかりさせっための薬とか飲んでな、続けた。 頑張ったンだべー。最後はちゃんと全部のハラワタ出してつながりまで確認してな、どこまで切りゃ死ぬかってのまで覚えてな。マジック様にも褒めてもらったべ、最初っからここまで出来るってえれぇって。優秀な者には機会を与えよーってな、その後も何度か、十回くれぇかなあ?やらせてもらってな。 ビデオ?ああ、後で手順を復習して資料にしようってな、わざわざ撮ってくれたンだべ。 そりゃ……ちぃっとはイヤだったけんども、だども、戦場に出りゃやることだがらって、そのためにも慣れといたほうがええって。ここさいて、嫌がるほうがおかしいって。 それにな、これをちゃんとやりゃな、あンな、卒業した後スンタローと同じ隊にしてやるってな……へへへ、ガッコの成績悪ぐってもな、こんだけ勉強すりゃスンタローの役に立てるって、だから頑張れって言われてな。もちろん、ガッコの勉強だって頑張ったンだべ?知っとるべさ、オラ頑張って学年十位以内さ入ったンだべ。 だども、それ以上頑張って悪ぐなることねえべ? ほんとにな、あれのおかげで戦場でも色々と助かったしな、やっといてえがったって……スンタロー?どした?なに、変な顔さしとんだべ? 笑ってんのが?泣いてんのが? ああ、バケモノだ。 『コレ』は『俺』が作ったバケモノだ。俺が食い物にするために作ったバケモノだ。 |
End.