ありがとう(以下略)
| その報告が入った時、泣き出す者も叫び出す者もいなかった。ただ、絶望したかのように膝を折る者。強く壁を殴る者。インカムを剥ぎ取って、コンソールに投げ付ける者。おそらく、全員、己の無力さを呪ったのだと思う。 ミヤギは椅子に座ったまま、天井を仰ぐだけだった。何も見ていないかのような眼差しで、蛍光灯の無機質な光をその白い顔に受けていた。己を呪っているのか、彼を呪っているのか、世界を呪っているのか。もしかしたら、誰も呪ってなどいなかったのかもしれない。ミヤギはもう何も呪わなくていいのかもしれない。 僕はと言えばそんなことはどうでもよくて、最初に浮かんだのは『ああ、これでもう裏切られることはないのだな』という変な感慨だった。もう、彼がミヤギを裏切ることはなくて、僕の期待を裏切ることもなくて、だから、きっともう誰も傷つかないですむんじゃないだろうか。彼が傷つけていたわけじゃないけれど、彼が存在することで傷つかざるを得なかったことは、全て終わるんじゃないだろうか。 そんなことを考えていた。 「トットリィ」 「何?」 「タバコ、一本くんね?」 「……吸ってなさったん?ミヤギくん」 「今から吸う」 |