ありがとう(以下略)
慣れぬ礼帽を剥ぎ取ると、薄闇の冬の空気に金が踊った。ふぅ、と息を吐いて、乾いた空気に若干の湿り気を与える。
「あー……燃えとるな」
「だっちゃね」
首を捻って、今しがた出てきた建物を見上げる。高い細い塔の頂点から、細い細い煙がゆらゆらと流れ出ていた。
「どんくらいで済むっつってたっけ?」
「一時間。拾いにいくっちゃか?」
「邪魔したぐね」
そう言って階段を降り始める。少し遅れて追いかけた。ふと、その足が止まる。
「なぁ」
「ん?」
「おめ、おらになんか言うこと、ね?」
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