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2009年1月 5日

『LolitA☆Strawberry in Winter』本文見本

 インテ新刊の本文見本です。冒頭部分になります。


■終業式のお話

「せんせい、さよおなら。みなさん、さよおなら!」
「はーい、さようならー。みんな、よいお年をー」
 よいおとしをー! めりーくりすまーす! せんせー、僕ハワイ行くんだよー。私ねー、スキー行くの!
 号令が終わると共にきゃわきゃわと生徒たちは騒ぎだし、ランドセルに体操着が入らないと奮闘し、机の奥から食べかけの食パンを発掘して悲鳴を上げている。なんとか全員を教室から送り出すのに、三十分以上掛かった。
 二学期終業式、これにて終了。坂田銀八は今年最後の大仕事を終えた満足感に、ふうと息をつく。
 区立銀魂小学校。坂田銀八はその三年Z組の担任である。
 この地域一帯は再開発により高層マンションがいくつも建設された今時ありがちな下町であり、この小学校はそのマンションへの入居に伴う急速な児童数の増加により遂にクラスが『Z』まで到達してしまったという、ちょっとありがちの度を越した学校である。
 急ピッチで建設された真新しい校舎。銀八はここに赴任してまだ三年目だ。ここに来るまでは教諭免許は持っていたものの、どの学校にも就職できず、致し方なくフリーターをやっていた。どれほど教育への熱意に燃えようとも、少子化には抗えない。
 そして三年前、この銀魂小学校は付近の児童を迎え入れるため規模拡大を行い、銀八はなんとかそれに紛れ込んだ。
 正直、不安はあった。教育実習からもう五年も経っている。昨今の児童を取り巻く地域事情や犯罪、そしてうわさの学級崩壊。憧れの『先生』になれたはいいものの、こなせるかどうか。
 その不安は、半分外れ、半分当たった。幸いにも立ち並ぶ高層マンションはそこそこ高級な部類だったので、家庭環境が整った児童が多く、授業中に暴れだすような子供も少なければ、それを叱ったからと言って逆ギレしてくるモンスターペアレントも少ない。そして、町には子供を地域全体で育てるという古き良き人情が残っており、児童が犯罪に巻き込まれることも少なかった。実に安定した平穏な学校である。そこに不安はない。
 不安があるのは銀八自身にだ。銀八自身が、子供を犯罪に巻き込み、学級を崩壊させかねない、重大な問題を抱えているのだ。
「……せんせぇ」
 細く高い、子供特有の柔らかい声が耳をくすぐり、銀八はぞくりと背筋を震わせた。
 いた。やっぱり残ってた。銀八はそろそろと首を回し、教室の前のドアに顔を向ける。
 一人の男子生徒が顔を半分ドアから覗かせていた。
「……あれ? まだ帰ってなかったのかな、ヅラくん?」
「ヅラじゃありません、桂です。それに……二人っきりのときは小太郎ってよぶやくそくじゃないですか」
「してないよ! そんな約束してないよ! 勝手に約束しないでよ!」
 この生徒が、この桂小太郎という男子生徒が問題なのだ。
 あろうことか、銀八は彼から猛烈なラブアタックを受けている。
 ラブレターももらったし、誕生日プレゼントももらったし、体育祭のフォークダンスも申し込まれた。
 何故、小学三年男子が、担任の男性教諭に恋心を抱くのか。それは分からない。この年頃のお子様が考えることは、さっぱり分からない。
 問題は、彼がそこらの女子では太刀打ちできないほどの美少女顔だということ。そして、半端なU―15アイドルが裸足で逃げ出すくらいのエロさを持つことである。正直、存在が児ポ法ギリギリだと思う。
 その歩く性犯罪誘発が、とことこと教壇に走りよってきた。くるりと円らな子鹿のような瞳で銀八を見上げる。
「先生、もうクリスマスですね」
「うん、そうだね。サンタさんには何か頼んだの?」
「……やだ、先生、サンタを信じてるんですか?」
「信じてねえよ! ヅラくんが信じてた場合を踏まえて気を使ってんだよ! 時々嫌なこと言うよね、ヅラくん!」
「何度言ってもヅラってよぶ先生ほどじゃないと思います。サンタさんにはもうお手紙を書いたのでだいじょうぶです」
「結局、信じてんのか信じてないのか、どっちだよ……」
「子どもはふくざつなんですよ」
 何を疲れた表情でため息ついてんだ、この小学生。
「問だいはサンタさんではないんです、先生。クリスマスといえばもっとだいじなことがあるのです」
「あ、ケーキ? 先生ねー、わざわざお取り寄せしておいしいのを三つも揃えたのよ。今日届くんだぜ、もー楽しみで楽しみで……」
「ということは、先生は今年も女の人とはいっしょにすごさないんですね」
「……うるさいよ。今年もってなんだよ、ヅラくんは去年の俺の何を知ってるのよ、二年の時は担任じゃないじゃん」
「よかったです。これでえんりょなく、先生のうちにおとまりにいけます」
「はー、然様ですか……って、ええええええええ?」