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王子様と秋の空 [将棋]
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2007年10月15日

世界はそれを愛と呼ぶんだぜ 2

銀誕
 銀誕参加企画。
 ぎんづらデート中。第二話。まだ続きます。


 エリザベスは存外近いところにいた。道一本向こうだった。
「見ろ銀時。愛らしいだろう?」
「……はぁ」
 猫耳キャバクラ『しっぽはダメにゃん☆』の看板を持ち、猫耳のカチューシャをつけてチラシを配っていた。
「まるで大きな白猫のようだ」
「猫じゃねえよ、あれは猫耳をつけたおぞましい何かだよ」
 その言葉も愛するペットにうっとりとしている桂の耳には届かない。
「エリザベスは可愛いだろう? 銀時?」
「さあ、どうでしょうね」
「だから、エリザベスと一心同体である俺も可愛いだろう?」
「……はい?」
「さあ! 俺の愛らしさにメロリンQとなるがいい!」
「わっかんねーよ、その理屈! そして、ワードが古すぎるよ!」
 それを大真面目に言っているのだから困る。ええい何故理解せんのだ貴様そんなもん理解するくらいなら一般相対性理論理解してやるわとキーキーつかみ合っていると、その猫耳をつけたおぞましい何かがこちらに気づいたようだ。
『桂さん、デート中ですか』
「うむ。計画は順調に進んでいるぞ」
「……ほほう、君の中ではこの状況は順調であると……」
 そういや、昔からそうだった。作戦の進行になにか食い違いが起こっても、神経質ですぐパニックになる高杉と違い、『これくらいならあとで埋め合わせが出来る』とどんどん進んで行く男だった。事実、埋め合わせも修正も出来たからよいのだが、桂のこれは大胆や豪胆というより、ズボラに近いものだったのかもしれない。
「ああ、そうだエリザベス。耳を貸せ」
 桂はエリザベスの耳(の辺り)に口を寄せ、何事かを耳打ちしだした。
「……ひそひそひそ……」
『あ、チキンの予約は万全です。抜かりはありません』
「……こそこそこそ……」
『真選組対策はお妙さんに一任してあります。念のため、志士のフォローも入ってます』
「……もしょもしょもしょ……」
『プレゼント到着は遅れがちですが、夜までには』
「……内緒話になってねええええ!」
 飛び蹴りで桂の後頭部と同時にエリザベスの看板を叩き割る。
「盗み聞きとは行儀が悪いぞ、銀時!」
『ひどいじゃないですか』
「イヤでも目に入るの! 何でよりによって俺の方向けて看板見せるワケ!? 嫌がらせ!? 嫌がらせだろ、このオッサンがよお! 一度テメーとは決着つけなきゃなんねえって思ってたんだよ表出ろっつーかそこから出やがれゴルァアアア!!」
「落ち着け銀時! ここは表だ、そしてエリザベスはどこから出るというのだ!」
『たすけてかつらさん(ふるふる)』
「かわい子ぶるな抱き合うな怯えた目をするな頭撫でるなーー!」
 やはり一度こいつは斬らなければならない。銀時が腰の木刀に手をかけた瞬間、周囲が暗い影に包まれた。
「あ?」
「む、敵襲か?」
『あれは……!』
 見上げれば、そこには小型宇宙艇の腹。ひどい低空で進んでいるせいで、その下一帯が陰になってしまっている。宇宙艇はそのままふらふらと頭上を通り過ぎ、あっちにふらふらこっちにふらふらと流されつつ、
「「『……あー……』」」

ちゅどぉぉぉん……

 落ちた。
「……落ちたな」
「ああ、落ちた」
『万事屋の方角ですね』
「神楽は……お妙んところに行ってるんだったな」
「エリザベス、お登勢殿とキャサリン殿は今の時間どうなさっていたかな?」
『スケジュール通りであれば、志村さんのお宅で料理を作っているはずです』
「じゃあ、とりあえず怪我人は無し、と」
「エリザベス、申し訳ないが夕方まで頑張ってくれ」
『桂さんもお気をつけて』
 そのまま、銀時と桂は悪い予感から逃れるように踵を返す。
 が、腐れ縁というのはそれほど甘っちょろいものではない。
「おおー! ステファン! ステファンっちゃあないがか! なにしちゅー、こがぁなところで!」
『お久しぶりです、坂本さん』
 即座に銀時と桂は、集まり出したやじ馬に紛れるよう身を潜める。
(声を出すな、ヅラ! バレたらもうお仕舞いだ!)
(分かっている! 俺を誰だと思っている、逃げ隠れることに関しては任せておけ!)
「ステファンがおるっちゅーことは……おお! そのええ匂いばしよるサラサラヘアーはヅラ! そして、もじゃもじゃの金時!」
「きゃああーー、バレたぁーーーー!?」
「振り向くな銀時! 顔を見られるまでは有効ではない!」
 それ、缶蹴りのマイナールールだろ。
 とりあえず、銀時と桂はその場から脱兎のごとく駆け出す。銀時の旧友や腐れ縁どもは、多かれ少なかれトラブルを呼び込むことに長けているが(桂曰く、貴様が一番呼び寄せているのだ、ということだ)、坂本はその極め付けと言っていい。桂はまだいい、自力でトラブルを解決することができる。坂本はしない。絶対しない。じゃあ、どうするかというと、周囲が『あーもー、仕方ねーなー』と手を出す。毎回、不思議とそれで丸く収まる。ある種の人徳人望にあふれた人物と言えるかもしれない。
 だが、事態を押し付けられるこっちとしちゃたまったもんじゃねーのである。
 人込みをかい潜り、ひたすらに走り……
「おーーーい、まっちょくれやーーーー」
 がろんがろんと下駄の音高らかに、後ろから黒いモジャモジャが追いすがる。
「くっ! 相変わらず、足だけは速い!」
「ちぃっ! 快援隊のモジャモジャは化け物か!」
「あっはっはっはっは、追いかけっこなら負けんぜよー」
 互いの身体能力は知り尽くしている。このまま真っすぐ逃げるのであれば、銀時と桂が坂本に追いつかれるのは時間の問題だ。
 あれしかないだろう。
 目配せも呼び合う声すらいらなかった。そのようなことをせずとも、銀時は桂の呼吸のひとつひとつを感じ取ることができたし、桂は銀時の鼓動のひとつひとつを感じ取ることができた。互いが次にどう動くか、その足がどう踏み出されるか、その腕がどう振るわれるか、なにもかも分かっていた。
 死地をくぐり抜けた友は多くいた。しかし、このような共鳴を得られたのは、銀時も桂もお互いただ一人だけだ。
 背後に迫りくる坂本の足音でタイミングを計り、銀時は左袖を、桂は右袖をまくり上げる。
「あっはっはっはっは、つーかまえた……?」
 坂本の手が白い着流しの袖を、黒い羽織の裾を掴もうとする。その、
 瞬間。
 銀時と桂は踏み出した足に全体重を乗せて走りを止め、慣性をそのまま振り向く回転速度に変換し……

「「……どぉっせえぇぇぇいい!!!!」」

 完璧なツープラトンラリアットが坂本の顎に入った。
「ごぉっふおぉう……っ!!」
 土煙を上げながら地の上を10mは滑って行く坂本を尻目に、銀時と桂はハイタッチする。こんな時だけ、本気でお互いがいてよかったと思う。
「……あっはっはっはー、全く、金時もヅラも手厳しいのぉ」
「まだくたばってねえのか、この毛玉はぁ! あと、金時じゃねえよ、銀時だよ!」
「本当に無駄に頑丈だな、貴様は……ついでに、ヅラじゃない、桂だ」
 全く堪えた風もなく血まみれのまま起き上がってくる坂本に、二人同時に諦観のため息をつく。こうなったら地の果てまで追ってくるつもりだろう。
「坂本、こんなところで何をしている。確か貴様……」
「あー、荷物の検疫で足止めくらっちゅう。退屈じゃけ、陸奥ば任せて出てきたぜよ」
 任せんな出ていかせんな首に縄つけとけ。あの無表情な女に同情しつつも、舌打ちする。
「なんじゃ、金時とヅラはお出掛け中がか」
「うむ、ばーすでーでーと中だ」
「お願い黙ってヅラ」
 自分と桂の仲を坂本に知られていない訳ではないが、古い知り合いの前で堂々と言われるとさすがに恥ずかしい。
 あちゃー、と坂本が額を抑える。
「そりゃー困ったぜよー。わしゃーお邪魔虫になってまうきに」
「お邪魔だよ帰れよ宇宙帰れよデブリにぶつかって宇宙の藻くずとなって流星となって千の風になってから帰ってこいよ」
「こんなモジャモジャした風に吹かれたら、髪がモジャモジャになるだろうが」
「うーん、しかし金時かヅラに遊んでもらわんと、暇でしゃーないきに」
「暇つぶしに付き合う義理はねーよ。早朝営業のソープにでも行ってろ」
「淋病が流行っているらしい。気をつけろよ」
 踵を返し立ち去ろうとする銀時と桂の袖を、しっかと坂本が掴む。
「よし決めた。付き添いしちゃる」
「いらねーよ! 先生か、お前先生か! 僕たちデートなんで邪魔しないでください!」
「な、なんだ貴様……坂本に邪魔されたくないとは、やはり隙を見て俺にいやらしいことを……!」
「頬染めんなあ! 話合わせろ空気読めえ!」
「坂本、助けてくれ! こやつ、平日昼間で全室均一五千円であることをいいことに、プール付きの部屋で夏に出来なかったヌレスケプレイを楽しむつもりだ!」
「しーまーせーんー! なんだそのプレイ、やられたいんかソレやられたいんか! 確かにちょっとそそられるものがありますが、銀さんはむしろスク水でお風呂くらいが身近な感じで好きです!」
「えー、わしゃあどっちかっちゅーとマイクロビキニでマットプレイを……」
「「やりたきゃさっさとやらせてくれるとこ行けよ、このヘルペスウィルスキャリア」」
「まあまあ、金時とヅラが健全なデートができゆうよーに、あんちゃんが付き添いしちゃるきに、なかよおしちょきな」
「お前みたいな毛玉の兄ちゃんはいりません。こんな業苦の遺伝子を負ってるのは俺だけで十分だ」
「貴様が俺の兄なら、もう少しその頭はまともであったと思うがな」
 坂本はからから笑いつつ、ごそごそ懐の財布を探る。
「どこゆくがか。あんちゃんが連れてっちゃるき、好きなとこ言いやぁ」
 黒革のそれの合間から見える札束。約2cm厚。
「兄ちゃん、僕、回らないお寿司とステーキと銀座で限定三十食のガトーショコラ食べに行きたい」
「兄上、実は帯と羽織が古くなってしまっていてな。あと、道行を仕立てたくてだな」
「あっはっは、ここまで変わられると泣きたくなるんだけど」
 態度を一変させ、二人はひしと坂本の胸元に抱き着く。世の中やっぱり金持ってる奴が一番強い。
「よしよし、あんちゃんに任せとけ。金時の誕生祝もかねて奮発しちゃるきに」
 そう言って、坂本は銀時と桂の肩を叩き、
「さあ、行くぜよ!」
 右手に桂の手を、左手に銀時の手を取った状態で歩きだそうとした。
「待てーい! なんか違うー!」
「あ? どした、金時」
「デートしてんの俺とヅラー! なんでおめーがヅラの手握ってんのー! あと、おめーに手ぇ握られんのやだ! なんか妙にあったかいし、汗でぺとぺとする!」
「銀時……そんなに俺の手を繋ぎたいなら、もっとそう……」
「うれしはずかしって表情すんじゃねえよ、このバカ!」
「あっはっは、仕方ないのう、金時は。ヅラが大好きでせんのおがは昔から変わっちゃー……がふっ!」
「黙れや、この毛玉ぁ!」
「あっはっはっは、そんなにヅラと手ぇ繋ぎたぁらば、こうすりゃ……」
「なんだ、おい……」
「おお、妙案だな、坂本」
 坂本は、桂の右手と銀時の左手を取り合わせ……
「ほーら、仲良しぜよ」

 見事なトライアングルが完成した。

「…………おい」
「……はっ! これでは前に進めない!?」
「ありゃー? おかしいのお」
「おかしくねええええ! バカ! お前らバカ!! バーカバーカ!」
「バカじゃない、桂だ! くそっ、旧友同士が手を取り合うことは、これ程までに困難であると言うことか……!」
「あははー。ヅラ、泣くなー。なんかいい方法があるはずぜよー」
「ねーよ! ないの! 別に旧友とか関係ないの! つーか、手ぇ離せよお前らー!」
 歓楽街の路上で男三人手をつなぎ合いながらぎゃあぎゃあ喚いていると、ふと、坂本の肩が叩かれた。
「すいません、あの事故った宇宙艇、あんたの?」
「あにゃ?」
 振り向けば、制服姿の警察官。
「駄目だよー、事故起こしたのにその場を離れちゃ。現場から背の高いグラサンの男が立ち去ったって言うからさー。あんたでしょ? ほら、現場検証するからこっちきなさい」
「あははー、こりゃあ参った。金時、ヅラ、どーも付き添いは出来んように……ありゃ?」
 気付けば、既に二人の姿はない。そういえば桂は指名手配中の身だ。警察がくれば姿をくらますのは当然である。
「とりあえず身分証明証。免許証見せて、ほら」
「あー、はいはい……ありゃりゃ? ありゃー?」
 財布がない。


「えーと、ひのふの……くっそ、マジ金持ってんなー。じゃあ、こんだけがうちの修理代と慰謝料、と。そんでもって、俺の誕生日プレゼント代がー……」
「銀時、もうちょい寄越せ。まだ先月のエリザベスの餌代が振り込まれていない」
「何、そんなもんお前貰ってたの?」
「あと、このあいだエリザベスの裾にミートソースの染みが出来てクリーニングに出したから、その分も」
「やっぱアレ着ぐるみなんじゃねえかよ! 認めろよ、あれが単なるオッサンであることを認めろよ!」
「何を言っているのかさっぱりわからんな」
 一本外れた路地裏。二人並んで屈み込んで、坂本の財布の中身を検分する。2/3ほどに薄くなった財布を、銀時が懐にねじ込む。
「ま、この辺で勘弁してやるか。さて、軍資金も手に入ったし、どうする? 回らない寿司でも……」
「まだ昼飯には早かろう。うなぎはどうだ。ちょうど下りの旬だし、今から店に行けば頃合だ」
「……いやらしいことやる気マンマンじゃないですか、ヅラくん」
「は? 何を……って、すぐ思考をそっちに持っていくな、馬鹿者!」
「でぇっ!?」
 尻を強か蹴られ、銀時が跳ね上がる。
「昔じゃあるまいし、今時そんなうなぎ屋があるか! 馬鹿者! エロ! 下半身! お前の母ちゃんエーマニエルー!」
「誰の母親がエマニエルだ! あんな母ちゃんなら今からでも欲しいわ! あー、うなぎな。いいんじゃない、もう何年も食ってないし。行こうか?」
「うむ」
 歩き出そうとすると、す、と桂の右手が差し出される。
「……何?」
「手をつなぎたいのだろう?」
 さも当然、というように小首を傾げて。
「バッ……! お前、何言っちゃってんの!?」
「何言っちゃってんのはこっちだ。あんな往来で大声張り上げおって、痴れ者め。誕生日なのだ、手をつなぐくらいかまわんぞ、ほらほら」
「いりません! こっぱずかしい!」
「なんだ、そうか。ならばいい……」
 むぎゅ。
 袂に戻されようとする桂の手を引っつかむ。
「……銀時……」
「…………誕生日だから」
「人と話すときは目を見んか、銀時」
「うっせーな!」
「どこにする。ここらのうなぎは新しい店ばかりだろう」
「別に高いのじゃなくてもいいだろ。ババアがよく行く店があってさ」
 てくてくと、手とつないだまま歩き出す。


>>3


注)昔のうなぎ屋は注文してから出てくるまで1?2時間かかったので、そのあいだニャンニャンして過ごしたりしてましたとさ。ニャンニャン。